酸化しないコーティングの開発に携わっているおちゃのこ博士のコーナーです。開発者の直言はみなさんにとって、とても参考になるのではないでしょうか?

『コーティングについて』(第1回)
酸化するってどういうこと?  

最初に、私の経歴について、一言申し上げます。
私は、カーワックスメーカーに二十年間、工場長として、新製品開発から製造まで携わっておりました。その経験と体験を生かして、その後独立をして、ACSグループを結成して、その後二十年間、コーティング関連製品の開発に携わって参りました。

カーディティーリング業界は、業界外から参入された方が多いと聞いており、豊富な経験と体験を持った、私のような存在は、むしろ少数派なのかな、とも思っております。

この道四十年、またグループの中には優秀な人材も多く、皆様のお役に立てればと、念じております。

さて、コーティングの被膜が「酸化する」って、どういうことでしょうか。

酸化とは錆びることを言います。コーティング被膜が錆び釘のようにカサカサになり、剥げてしまうことを言います。

剥げてしまえば、塗装表面には被膜がなくなってしまうため、そのコーティングは、塗装の保護が出来なくなります。

塗装表面が裸になると、風邪をひいたり肌荒れを起こしたり・・・砂・泥・酸性雨・SPMなどに、酸化成分が曝(さら)され、塗装表面は悪い方へと変化を始め、カサカサからガサガサへと変わり始めます。

カサカサ・ガサガサは、感触・目視では判断は出来ません。普段、皆さんは、塗装の表面を見分ける時、塗装表面の汚れの付き方等で、日常の見分け方をしていると思います。

自動車の塗装は、過酷な条件下に置かれるため、塗装を保護するものがなぜ必要なのか、塗装表面を保護する理由が見えてくると思います。酸化した塗装表面は、汚れが付き、水拭きだけでは落ちないようになります。これは、すでに、汚れが塗装表面で酸化し始めた証です。コーティングの酸化被膜は、カサカサになって全てが剥がれ、喪失するのではなく、一部は酸化物として汚れと共に蓄積され、やがて塗装表面の光沢を奪い、その塗装全体が汚れと酸化物質で覆われてしまいます。コーティング被膜が酸化をし、酸化物質が汚れとして塗装表面に残ると、美観を損ね、酸化を促進していきます。

ワックス並びにコーティング被膜が酸化するのは、その成分に起因するもので、酸化を避けるためには、成分の構成を根本的に変えなければなりません。

しかしながら、国内のワックスメーカーは、長期持続型のコーティングには否定的であり、ましてカーディティーリング業界向けに、開発してはくれませんでした。そうした状況が長く続いて参りました。

コーティング業とは元々「ワックスを掛けてあげる」から始まりました。それが次第にお客様の要望で高度化していき、競争原理も働いて、より良い仕上がりを求めた結果、お互いに技術が向上したものと思います。ただワックスを掛けるだけでなく、水垢を取り、小キズを取り、トップコートよりもその下地処理の方に時間と技術を発揮する、奇妙な構図になってしまった業界でもあろうと思います。トップコートの下地処理に時間と技術をかけることを否定するわけではなく、しゃりょうに応じ、適所に必要な処理を施すことが、大切なのではないでしょうか。

「カーディティーリング」、つまりここで言う磨き屋さんに関しては、日本独自の発展をしてきた歴史の短い業界であり、今後の業界の発展は、コーティングとは何であるのか、何のために行うのか、を理解していただき、業界の発展と進歩に、努力していきたいと考えペンを執った次第です。

これから、しばらくの間、製品を作る立場から、皆さんに知っておいていただいた方がいいことを、色々とお話させていただく所存です。

「パワーGF・GFストロンガーの被膜硬度について」

被膜の硬度(硬さ)について、いろいろ質問が出ているようなので説明をしておきます。
この被膜硬度の数値は闇雲に 9H と公表したのではありません。第三者機関(日本塗料検査協会)に委託をして測定をした信憑のある結果と受け止めています。
その測定の方法については被膜の本質硬度を測定することが基本ですから測定方法は先方に一任し実施をしました。

測定にはJIS K 5400−1990「塗料一般試験方法」に準じ、8.4.1
鉛筆引っかき値(試験機法)により求める。
測定1.試料(基板)はJIS K5651(日本工業規格)アミノアルキド樹脂
     塗料(白)塗装鋼板にスポンジを用いて2回コート(24時間間隔)
     し、試験片とした。この時の結果は塗料の硬さに準じた2Hの数
     値しか得られなかった。

上記の結果から第三者機関では被膜と呼べる膜が存在しないのではと考えガラス板に2回コートをし、被膜と思しき箇所を削ったところ明らかに被膜の形成を確認した。

測定2.基板をガラス板にし、試料を2回コート(24時間間隔)して被膜硬
     度の測定をしたところ9Hでも傷を認められずとの結果を得ること
     が出来た。因みに9Hの鉛筆は国内最硬だそうです。

次に被膜硬度の限界を確認のためガラス板より堅い素材のカッターナイ
フの刃(モース硬度6度)を用いて測定を依頼した。

測定3.基板をカッターナイフの刃にし、試料を2回コートし(24時間間隔)
     確認した結果、試料のモース硬度は6度となった。

総括 従来塗装表面(被膜硬度2H程度)についていたキズはその原因で
    ある砂ホコリの性質が 2Hより硬いと言うことであり保護(コーティン
    グ)被膜硬度が9Hであれば単純に考えても遙かに少なくなることは
    お判りと思います。どんな物にも限界があることは皆さんも良くご承
    知と思います。限界値を超えた時にはキズがつくのは致し方ありま
    せん。限界値が9Hと大きい事は言うまでもなくキズがつきにくいと
    言うことになります。

以下にGFストロンガーのものを添付します。



『コーティングについて』(第2回)
塗装の酸化ご存知でしたか?
  

塗装は何のためにあるのでしょうか。車体(ボディー)の金属部分の防錆のためです。同時に美しさを表現するアクセサリーでもあります。

また、幾重にも重ね塗りするのはなぜでしょうか。ボディーカラーに、美しく複雑なカラーや技法を好む趣向性を求めるニーズが強いということでしょう。

一般的にはあまり知られていないことのようですが、塗装膜には、目に見えないピンホール(針の先ほどの穴)が存在します。従って、防錆のためには、塗装の膜を何層にも重ねて塗らなければ、防錆の役目を果たし得る塗装膜にはならないのです。

この極微細なピンホールからの水の浸入は無いのでしょうか。防がないと、車体を錆びさせ、腐食させることになるのです。でも、このピンホールの位置は不規則で、各層の穴が連続して重なることは少なく、水の浸入を防ぎ、防錆防触役割を果たしています。これが塗装の大事な役割なのです。

しかし、塗装表層膜のピンホールは、むき出しですから、やがて水の浸入を許し、その水分はやがて塗料を酸化させることになります。

■塗装研磨をすると、塗装はどのように変化するのでしょう■

塗装の種類も、ソリッド・メタリック・パール等、様々な技法で、美しい微妙な色合いを作るなど、多様化するユーザーニーズに応えています。塗装・塗料が酸化する原因は他にもあったのです。

塗料は、様々な色彩を作るのに、顔料という着色剤を使用しています。この着色剤は、金属系の成分が多く使用されており、『顔料=酸化成分』と言えるです。

この顔料の酸化を抑制するために、透明な樹脂塗料と混合し、練られ、塗料となるわけですから、塗料が内臓している顔料そのものを、酸化から保護しなければなりません。しかし、顔料の周りを取り囲む樹脂塗料が弱酸性なので、塗装はすでに酸化しやすい成分なのです。

常に、その酸化から、塗装を保護しなければ、酸化は進みますから、酸化を止めることの出来る何らかの保護膜で覆わなければなりません。


俗に色焼けと言われているのは、実は顔料の酸化なのです。
色焼けを、汚れが付いたように捉えている方もおられるのでないか心配です。

市販されているクリーナーの多くが、研磨力を持っているのは何故でしょう。
汚れなら洗剤やこすりなどで落ちますが、酸化した塗料、つまり顔料(塗料)は、削り取らなければ、色焼けが取れないということなのです。

故に、通常行っている研磨作業は、塗装の表面に細かいキズを付けながら、顔料(塗料)酸化物を削り、そのキズをキズではなく、滑らかに感じるように、浅く細かいキズを付ける作業をしているのです。

色焼け・汚れを取り、光沢のある新たな塗装膜表面が出るまで研磨することになりますから、実はキズを付けることで、前述の(酸化しやすい)顔料がますますむき出しになり、酸化を促進することとなり、塗装の寿命を縮めるだけでなく、酸化汚れの付着を促進することになります。

塗装の酸化を防ぐためには、良い保護剤で塗装の表面を覆って、酸化要因との直接接触を防いでおけば、ピンホールからの水の浸入や顔料(塗料)の酸化を防ぎ、新車時の塗装膜を長く維持できるのですが、このことに気付かないと、正しい、有効な塗装保護はできません。

塗装の酸化は身近に感じることができるのですが、これを酸化と結び付けて考えていない方が大方と思います。

塗装の表面にホコリが乗り、数日して、雨が降ります。雨水は、はじかれることなく、ホコリに染み込んだように、一面が濡れるのを経験したことがあると思います。水洗いしても酸化したホコリが残り、塗装表面がざらついた感じがします。
これは、ホコリに含まれた酸化成分と塗装が、互いに酸化し合い、一体化してしまうために起きる現象です。

塗料の酸化は塗料以外の保護膜で守るよりありません。保護膜が大事です。

扱い方一つで、塗装の寿命は大きく変わります。酸化を防ぐことで、塗装を痛めず、美しいボディーカラーを維持し続けることができるのです。

『塗装』を、一度見つめ直してみてはいかがでしょう。

『コーティングについて』(第3回)
塗装面に鉄粉が刺さる?
  

鉄粉はあらゆる場面で塗装面と接点を持っています。一般的には高架鉄道、一般鉄道の付近、工場現場など、至るところで鉄粉の被害にさらされています。

また昨今では、ディスクブレーキなる高性能ブレーキの採用により、車が動けば鉄粉が飛び散る環境は、拡大の一途と思われます。塗装表面は好むと好まざるとに関わらず、悪条件にさらされている訳です。

鉄粉の塗装面への付着メカニズムを理解していただくことは、作業をする上でも、お客様への説明でも、大変有効な事と思います。

『鉄粉が塗装面に突き刺さる』なんてことを信じている方は、意外と多いのではないでしょうか?
鉄粉は、どのような時に付着するのかを考えてみましょう。前述のように、鉄粉は大気中に浮遊している訳で、塗装に突き刺さるだけの力は持っておりません。もちろん高架鉄道の下であってもその力はありません。鉄の微粉末を、強い力で投げつけても、押し付けても、塗装面に突き刺さることはありません。塗装面を加温(加熱)しても刺さりません。

力を加えずとも、鉄粉を塗装面に置き、放置するだけで、鉄粉が突き刺さったとされる塗装面を再現することは容易にできます。しかしながら、それは刺さるのではなく、塗装表面において、鉄粉が他の酸化成分の影響で反応し、鉄粉の酸化が促進されて起きる現象なのです。つまり、鉄粉が酸化することで、塗装の表面で鉄粉と塗装が酸化共鳴という現象を起こします。この酸化共鳴は鉄粉と塗装を接着剤で貼り付けたようにする作用で、日数が経過すれば、更に酸化が進むので、強力に接着していきます。洗車をまめにしていれば、鉄粉が酸化を起こさない内に洗い落とされるので、このようなことは起こりにくくなります。

前回、塗装の酸化でお話しましたように、塗装は基本的に酸性ですから、鉄粉と塗装が酸化を起こし、お互いが酸化共鳴して一体化してしまう条件は整っているとも言えます。従って、鉄粉が塗装面に対して酸化密着するのは、自然(当然)の成り行きと言えます。

もし、鉄粉が本当に突き刺さっていると仮定したら、粘土を滑らせても取り切れるようなものでは有りません。一説には表面に出ている部分を折っているのだという誤った言われ方も有るようです。

鉄粉は塗装面に付着しているのであって、突き刺さっているのではないということを、よく理解していただきたいと思います。

『コーティングについて』(第4回)
コーティングの歴史その1
  

コーティング剤と言えば、そのルーツは、液体の乳化ワックスでした。そのワックスを、単純な販売ではなく、形態の違うビジネスにしようと考えた男がおりました。この男が、ビジネスとして立ち上げたのが、ポリマーコートシステムでした。使用される材料をポリマー剤と称しながら、今日までのその歴史を無視してポリマー剤云々では、創始者に対して失礼だと思い、少し昔話をさせていただきます。

日本で初めて自動車ワックス(オートワックス)が製造されたのは、戦後の混乱期を過ぎて、原料の配給制が撤廃された頃の話になります。進駐軍のPX(生協)から、余ったワックスが市中のガソリンスタンドにわずかながら流れていました。米国製で二種類あったと記憶しています。現在もカーショップに並んでいる、なじみのあるあの名前です。車と言えば、ほとんどが米国製で、台数も少ない時代でした。でも、ワックスの需要は結構あったようで、市場では品不足でした。

昭和25年(1950年)前後であったと記憶しておりますが、国産の自動車ワックスが発売されると同時に、需要はますます高まりました。

この時代のワックスはカルナバロウ(ブラジル原産)を中心とし、数種のロウ分と石油溶剤の混合物でした。車の塗装はラッカー塗料で、光沢は今とは比較にならないものだったので、上記の成分で、充分に満足のいくものでした。

昭和30年代(1955年〜)後半に入り、モータリゼーションの高まりと同時に、塗料も進歩し、メラミン・エポキシ等の樹脂を使用した塗料が使われるようになりました。

ワックスにおいても、シリコーンの出現により、目覚しい進歩を遂げました。撥水性が大きく、従来のワックスとはまるで違ったものになっていきました。それまでは、30cm四方に塗ったら、拭き取れなくなってしまったものが、車一台を塗ってから拭き取れば良くなり、大革命を遂げました。

昭和40年代(1965年〜)に入り、日本の高度経済成長が始まると共に、その頃の世相を反映してか、従来のワックスがけのように汚れを落としてからワックスをかけるのではなく、汚れ落しとワックスがけを一度の作業で同時に済ませてしまう練り状ワックスという便利なものも生まれました。

塗装に比べ進歩が無かったワックスとコーティング

昭和50年代(1975年〜)になると塗料や塗装技術がますます進歩し、塗装表面の硬度も強く、耐侯性や光沢が向上し、従来出来なかった塗色技法が用いられ、塗装は多様化していきました。しかし、塗料・塗装ほど、ワックスは進歩がなく、小手先(口先?)の技に終始したきらいがあったようです。

ワックスメーカーは、40年代頃からユーザーの目を撥水性に向けさせ、撥水性こそが被膜の強さと持続性の証だとPRを始め、これが後のウォータースポット(雨染み・水滴痕)問題の根源となってしまうわけですが、これは当時の私どもの大失敗だったと思います。いまだに、この時の後遺症から脱却することが出来ないのは、撥水に代わるべき、効き目の証を表現する方法が、他に見当たらないからなのでしょうか。ワックスの被膜は薄く、確認できるようなものではありません。ですから、光沢があり、雨を弾くことを効き目の証とするしか方法がなかったということだと思います。

ワックスの歴史は、コーティングの歴史でもあります。コーティングは、鈑金業界では大昔から行われていた技法でした。多少使用する道具や材料に違いはありますが、鈑金塗装の後、コンパウンドを使い、塗装の表面を削って平滑にし、固形ワックスを乗せ、バフで従来の塗装と同様の光沢になるまで繰り返し磨き上げていたのです。ですから技法上のルーツは塗装屋さんにあったわけです。

ワックスについて、色々とお話をしてきたのですが、コーティングの原点を知った上で、現在を理解してほしいと思います。

さて、コーティング業界と言われるようになってから、技法や液剤が進歩したのだろうか?どれくらいの台数をコーティング施工してきたのでしょうか?これから、ご一緒に色々と考えてみたいと思います。

『コーティングについて』(第5回)
コーティングの歴史その2
  

私が『一年間ワックス不要』の広告を知ったのは、15年ほど前のことだったと記憶しています。この話を聞いた時は、またか・・と思いました。と言いますのは、1960年代後半に、アメリカから持ち込まれた『ミング処理』が頭に浮かんだからです。

(当時の)ミング処理は、仕上げた時は、被膜が塗装を覆い、ワックスと異なる樹脂被膜で良いのですが、塗料的な分厚い被膜だったからではないでしょうか、数ヶ月経過すると、樹脂にひび割れがおきて、塗装と共にミングの被膜の剥離が起こり、塗装面が無残な姿になってしまうというクレームが多発したからです。原因はミングの被膜が硬く、柔軟性も無く、耐えられなかったのではないでしょうか。

数年経って、再び一年間ワックス不要の話を聞いた時には、ミングの再来か?しかし、広告の内容からは、ミング処理らしき表現が無く、別のものらしいと理解しました。しかし、一年間塗装をどのようにして保護するのか理解できず、疑問でした。たまたま知人が『一年間ワックス不要』のFC(フランチャイズ)に加盟をしたので、話を聞かせて欲しい旨頼み、聞かせてもらって驚きました。材料はエマルジョン(乳化)ワックスを使い、作業するのだと聞かされ、なるほどと思いました。エマルジョンワックスで一年間持続はとても無理で、1〜2ヶ月がせいぜいですから驚きました。FC本部ではエマルジョンワックスの持続性は、よく分かっていたのではないでしょうか?

加盟者への教育では、塗装表面の無数のピンホールにガラスの微粒子(または高分子)を埋め込むのだと説明するように教育していたようです。ですから、こんな説明がされている時期もあったのだと思います。ワックスメーカーは多いのですが、市場の大きさの違いでしょうか、コーティング材料に目を向ける製造メーカーはなく、二十年近くが経ってしまいました。この間、(主に)アメリカ製のエマルジョンワックスが輸入され、コーティングに使われました。初期当時から見れば、フッ素などが入ったり、多少品質も向上してはいるのですが、根本的な材料部分では、海の向こうでは日本のようなコーティング剤は理解されておらず、品質が目覚しく変化するようなことはなかったのです。何故ならコーティングとして一分野をなしているのは、日本特有のものだからです。輸入材料は、国内で何かを混合して、改良されるのが現状です。つまり、コーティング剤の性能の進化はほとんどなく、国内において手をかける範囲しか、進化はしていないと言っても過言ではないのです。

従来のコーティング剤には、改良を加えて欲しくとも、製造メーカーではないため、限界があり、それを補うのに、研磨技術の進歩に期待されるところが大きく、品質の改善はは、諦めに近い心境ではなかったかと思います。日本のコーティングは『一年間ワックス不要』のキャッチフレーズで世に誕生してから、使用コーティング剤は、実はほとんど変わっていなかったのです。

今年(2002年)の二月十四日から十七日までの四日間、幕張メッセで『第一回国際オートアフターマーケットEXPO2002』というのが開催されました。会場を見渡すと、やっと、国内におけるコーティング剤製造メーカーあるいはメーカーと一体化した商社メーカーさんが数社出展されており、新規参入の製品が多く、コーティングの大切な機能である被膜が酸化しない無機系にポイントをおいた各社各様の商品説明に余念がなかったようで、これからのコーティング業界にも被膜の性質が大切であり、その意味をやっと理解していただける本来の目的を明確に示していける時代がやって来たように見受けられました。コーティングは何にスタンスを置くべきかをよく考えましょう。これからがコーティング業界の本番と感じています。

磨き屋さんか、コーティング屋さんか、どちらを選択するのが時代の流れなのか、マッチしていくのか、これからは従来の価格体系では市場性がいかがかな、とも思われます。今までは一般的に施工店主導で、同じ車種なら中古も新車も同価格という場合が多かったのではないでしょうか?これからはお客さんにも選択肢を与えていくべきではないでしょうか。コーティングのメニューを増やすのも一案と思います。

『コーティングについて』(第6回)
ワックス被膜酸化現象の末路
  

ワックスもコーティングも、材料は近似しているので、ここではひとからげにして、ワックスとさせて頂きます。

以前に『被膜が酸化するってどういうこと?』で紹介した被膜の末路について、付け加えて、お話をします。

ワックスの原料(材料)から、説明しましょう。ご存知と思いますが、ワックス(or艶出し剤)には、固形タイプ・液体タイプ・練りタイプというように3種類に大別できます。
固形タイプは植物系ワックスの代表カルナバ蝋(ブラジル原産の天然樹脂)・植物系に様々な機能を付与した合成ワックス・石油系から抽出したパラフィンワックス等、鉱物系・合成樹脂・石油系溶剤などとの混合物で出来ています。
液体ワックスは、これらに界面活性剤(身近なシャンプーが一例)に水を加えた混合物で出来ています。
練りワックスは、上記に珪藻土(化石化藻類の粉末)を加えた混合物で出来ています。
ポリマー液に使われるいずれかのワックスの成分は、グリセリンと油脂との、極めて複雑な化合物となっています。

主成分のワックスは、経時とともにグリセリンと脂肪酸に変化をして、グリセリンは水に溶けやすい成分ですから、雨に溶け、失われてしまい、脂肪は脂肪酸として酸化物となり、塗装面に付着して、塗装に対して酸化を呼びかけ、汚れを吸着し、汚れを伴った酸化被膜が、塗装全体を覆ってしまうことになります。

つまり、付着汚れがやがて酸化して酸化物(付着酸化物)となり、次にこの付着酸化物が塗装を酸化させてしまい、お互いが酸性成分であるため、酸化共鳴を起こしやすく、やがて一体化し、酸化被膜となり、表面はザラザラで汚れたようになります。

この酸化現象は、防ぐことは出来ないのでしょうか。良く聞くことですが、塗装面に何も塗らなければ、むしろ酸化しないと言われる方がいます。最近の塗装は、良質な耐侯性を持っており、マメに洗っていれば(汚れの酸化物が付着し続けないようにしておけば)、一年や二年は耐えられる性質を持っています。酸化は突然起こるものではありません。じわりじわりと、日々酸化は進み、目視出来る頃は、すでに手遅れになっているのが実情です。

塗料の試験は、様々な角度から行われていますが、試験と現実の差は、出てしまうようです。

塗料の耐侯試験とは、塗面から、粉末状に塗料が剥離する時点までの期間を言いますから、剥離を起こした時は、かなり酸化劣化して手遅れの状態です。前述のように、何もしない方が良いと考えるのは、ナイフの刃に指を当て、切れると分かっているのに指を動かすのと同じでしょう。血が出てからでは遅いのです。その前に手を打つことを勧めてあげて下さい。

上記の解説
酸化するコーティングを長期間塗りっぱなしにしておくと、塗装の酸化劣化を促進するので、それよりは、何もしない方がマシだが、これでは塗装が酸化劣化するのを自然にまかせて待っているのと同じである。何か手を打つようにアドバイスしなくてはならない。・・・という意味だと思う。


『どんなに良い塗料が出来ても、それを覆うものがなければ、塗装の保護・維持は出来ない』。それゆえに、ワックスもコーティングも、必要が無くなることはないでしょう。車がある限り。

一口メモ
当社ではフィールドテストの結果を参考に、下記のようなスタンスを取っています。

@酸化するコーティングで長期保護・・・良くない(普通以上に痛みやすい)
A何も塗らない・・・普通(普通に痛む)
B酸化するコーティングやワックスをこまめに塗り替える・・・良い(普通より痛みにくい)
C酸化しないコーティングで長期保護・・・非常に良い(極めて痛みにくい)


コーティング業界の市場は、まだまだ大きくなるものと思いますが、今後の製品の進化とユーザーへの対応がどのようにしていけるのか。今後の対応如何が、将来を左右する、大事な時期に来ていると思います。

『コーティングについて』(第7回)
酸化しないということは?
  

『酸化しないコーティング』という言葉を、耳にしたり、目にしたりすることが大分多くなってきたように思います。町中のお店の前のノボリ旗に書いてあるのを「見ましたよ」等と訊かれる中で、その度に説明を求められています。

コーティングが酸化を起こすということの意味は、業界では大分理解を得られるようになったとは聞いていますが、まだまだコーティング被膜の酸化とはどういうことを意味するのか、酸化しないことがどう良いのか、質問されて、説明に苦慮したりしている方(お店)も多いのではないかと感じています。

以前にも、触れたことはありますが、水垢と言われている汚れは、塗装の酸化の一つの現象と説明してきましたが、まだそのことを良く理解できないまま(お客様へ)説明している方(お店)もあるようです。洗っても擦っても落ちない塗装面の付着汚れは、塗装の酸化が作り出す現象です。従って、塗装の表面を酸化させないことが大切であり、本来コーティングの目的である塗装の保護、光沢の保持には、そのことが必要不可欠な要因です。塗装を酸化から守るには、塗装と酸化物の間に、保護被膜を作らなければなりません。昔から、その目的で使われているのが、一つはワックス、もう一つがワックスコーティング剤であり、このどちらもが、ロウ分と石油溶剤から出来ていることは、ご承知の通りで、これらは全て、酸化を起こしやすい代表的成分であることを、度々説明してきました。

従って、従来行われているコーティングは、そのコーティング剤の性能限界を遥かに超えた使い方をされているところに無理があり、その限界範囲内で使われれば、素晴らしい効果を発揮することもあるとは思いますが、限界範囲はせいぜい三ヶ月、最高でも六ヶ月であり、メンテナンスフリー的な向上を“売り”としているこの業界では、“悩み多きコーティング”となってしまいます。

つまり、塗装と酸化物(泥とか埃etc)との間に作る保護被膜は、その被膜自身が、酸化を起こさないことが肝心であり、汚れが塗装面を直接酸化攻撃させることの無いようにする為には、保護膜の(酸化しない・・・という)性質が最も重要なことになります。コーティングの目的である塗装の保護には、その他膜厚と光沢と膜の硬さと柔軟性等を備え、塗装に対して優しく副作用を持たない性質の物質であることも、また大事です。故に『酸化しないコーティング』シリーズの必要性が、今日各方面から注目されているのです。

『コーティングについて』(第8回)
性能の『勘違い』
  

分かっているつもりで何気なく、日々使っているコーティング剤は使い方を誤っていないだろうか?又その性能を充分理解して使われているのだろうか? よく言われるワックスと同型のコーティング剤の性能を過信したり、誇大に考えてはいないだろうか。酸化成分と言われている物質は、空気中にさらされた時から酸化が始まり酸化現象は成分の組み合わせによって多少は異なるものの゛酸化する事実"には変わりがありません。平均1ヶ月〜3ヶ月特別長くて6ヶ月程度、この間酸化成分は薄汚れて洗剤で洗っても落ちなくなり、研磨剤で削り落とすことになります。この様な頑固な汚れは単純に塗装表面で酸化物質が酸化を起こしているように考えがちでありますが、現実は根深く塗装面との酸化共鳴によって起きるもので、これは紛れもなく塗装が酸化し消耗している現れです。どんなに塗装表面の研磨、研ぎ出しで鏡面にしようとも、塗装表面に塗布した酸化成分の延命にはなりません。だから塗装面保護効果はコーティング剤の持つ独自の性能に比例すると考えるのが妥当なのです。コーティング本来の目的は塗装面の保護を前提にした性能を求める物と考えます。コーティングとは 分かっている様で実は曖昧なのです。ユーザーは手入れを簡単にして欲しいのか。小キズを取って欲しいのか。汚れを落として欲しいのか。塗装面の光沢を蘇えらして欲しいのか。塗装面の保護をして欲しいのか。現状ではユーザーの選択肢は殆どの場合ありません。コーティングとは前述の全てを行う事を前提とし、(実際に)ユーザーの意図しているものを殆ど無視をしてはいなだろうか。この隙間を突いているのが量販店の施工ではないだろうか。ユーザーのニーズを捉(とら)えたから繁盛しているのではないでしょうか。同じ作業をする事は一見効率的ではありますが、此は作業者側の考える事でユーザー不在とも言えるでしょう。

ワックス同型のコーティング剤も今まで言われている様な説明をしていれば、長期間持続の保護膜としては適切でないことは多くの方が周知の事実であります。ユーザーに誤った知識を植え付けていては、結果的に将来作業者側が苦況に置かれるのは当然であります。将来を踏まえ、ユーザーに正しい知識を提供してこそ作業者の高い信頼が得られるのではないでしょうか。コーティングの性能と目的を充分に理解して、適切なアドバイスをユーザーに行う様にして行こうではありませんか。過去に於いては、何時しか「勘違い」が当たり前になってしまったのではないでしょうか。コーティングの世界を基本に立ち戻り、ユーザーが何を期待し何を求めているのか。何を提供したら良いのか考えるても良い時期にきていると思います。多様化していく現代、コーティング(覆う)の本来の目的を塗装の保護つや出しにも幾通りもの対応していく手段を確立していかなければならないのではないでしょうか。

作業者側が塗装を守る手段として、指導をしたことに端を発しユーザー不在のまま研磨の部分だけが進歩して来ていると思います。

そもそもコーティングとは、ワックスをかけることによって、塗装の保護、艶を保持することから始まり、手間のかかる作業の代償として引き替えに工賃を戴くことを業として立ち上げたのが元であります。時代と共に求められているその性能と効果は進歩しなければならないものと考えています。ユーザーが望むことは、種々ありますが、如何に手間をかけずに塗装面を保持するかが最大の目的であり、そこに至る過程で小キズを取ったり、研ぎ、鏡面にしたりという希望がなされる事はあろうけれど、それは必ずしも最重要事項ではありません。塗装表面をいかなる性能特性を持つ被膜で覆うかこそが重要であり、覆う物質が、酸化する、しないでは、長期間放置後の結果が全く異なるという事です。

「勘違い」がこの業界を支えている部分かと思います。此くらいユーザーの 信頼が低くリピートの無い業界もまれではないでしょうか。これからはユーザーの信頼を回復しリピーターを増やして行くことこそ業界に関わる者としての責任と考えます。


『コーティングについて』(第9回)
思い込み
  

経験から何でも分かっていると思っていませんか。コーティング剤はこうして扱うものと「思いこみ」で使ってはいませんか?又その性能を充分理解しようとしていますか?こうしたことは頭の隅で普段から考えてはいるけど、正しい情報の判別をする基準が定まらないから悩んでいる方も多いと思います。此はかなりの施工者の方の共通した悩みだと考えています。とかく自分に都合の良い情報だけが正しいと思いがちです。間違ったと思う情報の中に真実が隠れている事もあります。性能を理解し、使い方を理解すれば仕上りは最高の出来映えとなる物を自らが全てを「思いこみ」従来通りの使い方、従来通りの仕上げ方、良い物を求めている筈が従来と変わりないことに安堵し、新しいものの性能を引き出す知識を得ようとしない方の多いことには驚きを隠せません。皆さんはプロだからと言って知識にオールマイティーになる必要はありません。ご自分が使用しているコーティング剤のプロになれば良いのです。此で正しい情報の判別の基準が出来る訳です。知識を得ることは容易(たやす)いが、それをプロとして結実させるには基礎をしっかり理解する事です。疑問が生じた時に力添えをしてくれるパイプ(メーカー、販社)を得ることが大事です。

例えば、従来のコーティング剤を使用している施工者にグラスコート剤塗布後に拭き上げはタオルを使用してと説明をします。怪訝(けげん)な顔をしてタオルで大丈夫ですか?傷は付きませんか? 大丈夫です。塗布後第一硬化被膜が瞬時に出来ますからタオル程度では傷は付きません。分かりました。その場では納得をして帰ります。従来からの使い方は身体が覚えています。頭で考えなくとも身体が動きます。作業が終わりました。聞いて来た様に仕上がりませんでした。表面に曇りが残り何をしても取れません。この時に聞いて来た話の内容を思い出してくれれば良いのですが、タオルで拭き上げる話はすっかり忘れています。タオルを使うなんて言語道断と思っている施工者は、傷の付きにくいネル地系等の布で何遍も縦に横に布を返して拭いては見ます。でも曇りは一行に消えません。身体で覚えた布は此が最高なのだと信じて疑いません。ネル地等の起毛した布は光沢を出すカラ拭き用には最適でも、何かを拭(ぬぐ)い取るには単調な毛足が邪魔をし、塗り延ばすだけで最悪、拭き取れません。
この布が拭き取りには不適である事に気づく、気づかないは「思いこみ」が強いか弱いかと、布に対する知識をどの程度持っているかです。タオル地を使うのには相応の意味があり、此を踏まえていれば回り道をしないで一度の体験で良い結果を出せたのです。回り道が悪いわけではありませんが、多くの施工者は製品を悪者にしていませんか。 「思いこみ」があなたの好奇心を阻害していませんか。知識の吸収を邪魔してませんか。頭の柔らかな人はグラスコート剤の使い方を短期に習得され、新たな知識の吸収を始めています。時代に遅れない様にあなたも積極的に挑戦してください。私共は質問を戴けば必ず対応をさせて戴きますが、皆様にお願いがあります。一度聞いて理解できないで放置をされますと当方では一応の理解を得られたと思ってしまいます。理解をし易くお話をしているつもりですが、話の仕方で質問者の理解が得られにくい場合もありますので、何回かお話をする中で理解をして戴ければと思います。